アド・アトラス
主人公とその父との葛藤が前面に押し出されて、「宇宙」ものに組み込まれているスペースのスケール感とリアリティが希薄なこと。火星基地の巨大さは遠い未来を映し出すけれど、現実的にはもっともっともっと遠い未来だ。在り得ない未来だ。このテの宇宙物はともすれば、20年後かな、30年後かな、と思わせるくらいの近未来でよくって、ノンフィクションを謳えるかもしれないのに、これじゃ、スタートレックと変わりはしない。フィクションはフィクションでいいんだけれど、なんというか、「え?」「おや?」見たいなところが多くてね、飽きた。スタートレックは、もう大宇宙を駆け巡る宇宙大サーカスでちゃんと成功しているから問題ない。問題なのはそこに親子や夫婦や人間愛などを強引に紛れ込ませようとした点だ。Bピッドはいい演技をしているから勿体ない。
マットデイモンの「オデッセイ」の秀逸さに比べちゃうのがイカンのかな。
今見たいのはバートレイノルズの「ラストアメリカンムービースター」だ。それから「JOKER」。
そうだとはいえ、タノシイ映画でした。映画館で見る映画、家庭で楽しむ映画の二つに、掌に収まる小さなスクリーン=ディスプレイのスマートコンピュータが加わって、この先、「映画」はどう変化してゆくのだろう。ふと、以前と変わらずにちゃんと賑わう「天気の子」などをを横目に、大きなスクリーンの不要なメディアが世の中を席捲していくのは、あまりヨロシクないかも、なんて思った。