伝通院~伝説のRock'n'roller
高山は歌っていた。「僕が黙ってきみを見ると、ちいさな手を差し伸べて、薄紫色の花を摘んで、そっと掌にのせてくれたよ」「自分で歩けないひとがいる。そんな人にまず手をさしだすことが、国のやることじゃないか」「アレンジャーは惣領泰則。高山は、歌を愛した故に自分を見失ってしまった。これも自分さ、という考えで。でも僕は、それは自分ではなかったと思う。武骨な男で、だから、小さな言葉を紡いで、妻や母や妹のことや国のことを眺めていた。売れるという意識は全くなく、暮らしていくだけの糧があれば、それでよかった。そういえば、東大阪の銭湯の代金を借りたままだ。そんな男に惚れた男がいて、その男が今度またライブをやる、ってんで、ピアノ弾くことにした。文京区伝通院。なんだかホールにて。7月19日15時から。コイツも歌は下手だけど、実にいい空気を与えてくれる。その場がどんどんなごやかになる。そのsingerは、KUSUBASHI。きっと、自分たちの周りに要らないものがあることを教えてくれる。僕にとってこれは、命の洗濯に行くみたいなものなんだ。