手袋を買いに
はっぱのお札を持って手袋を買いにいった仔狐。むかしのおはなしを思い出したのは、二日前。また、手袋を失くしてしまった。必ず帰ってから気がつく。途中で気付かないものかなぁ。軍手と呼ばれるものは、しょっちゅうですが、失くしたのは、すこしお値段の高いもの。下ろしたてのそれ。ひと冬に2組くらい、または片方を失くします。理由は簡単。嵌めていたのを忘れるから。子供の頃毛糸の手袋を紐で結んで首にかけていたあれのマネしなくちゃいかんな、と、思った次第で。ブランド、新しい素材、いただきもの、みいんな、失くしちゃう。 と、そんな一日あり、の中で、不思議だったのは、再会ということ。 このあいだの長崎。岸田敏志さんのオシゴトで、行った長崎でしたが、そこで再会したのが、件のミスター立石。僕自身は引っ越しを何度もして、捨てたもの、失くしたものがたくさんあるわけですが、なぜか一枚残っていた彼からの引っ越し案内状。手帳やCPUにも入力してない住所と電話番号がそれには書かれていて、長崎を訪ねる1週間まえに、おそるおそるダイアルしたんだ。受話器のむこうから、懐かしい、というか、ほとんど初めてのような声。本人でありました。30年ぶりの声。早稲田に住んでいたころの先輩なのでありまして。長崎は市内はもちろん、壱岐や対馬などに何度も行きましたが、ハウステンボスは初めて。平戸に住む彼のところからなら近いだろうと思って。「遊びにこない?」と連絡。見事成就し、奥様と奥様の妹さまとの3人のご来場となりました。積もる話はなにもない。30年べつのことをしていただけだから。でも平戸焼の彼の店は平戸市内でちゃんと営業しておったわけで。その日の夕食は、あんな暮らし、こんな暮らし、の披露と、少しの回顧をゴチャ混ぜにして、滞りなく、「また」の約束に繋がりました。 岸田さんは備前焼きの陶芸家でもありまして、その話でも盛り上がりました。書家でもある、立石氏は、活字と見紛うほどの達筆を一筋の本に著わしていて、彼曰く、「これを新しいフォントの範疇で商品化したい」と申しておりました。漢和辞典一冊ぶんの大作です。(ひまなのかなあ?)「これがあれば、賞状でも手紙でもなんでも対応できるよ。」と。は、は~ん。どうですか?ソフト屋さん、興味ありませんか?僕が窓口になりますよ、なんてね。でも彼、ホンキ。興味あるかたはいちどわたくしに連絡ください。 で、はなしは戻って、手袋。だ・か・ら、今年の冬はなくさないようにと思っていた矢先の紛失。 あれあれ、おなじことの繰り返し。2,3日まえに向田邦子の「40になって、繰り返し失敗するのが治らない」の件りを読んだのが、自分にシフトするとは、当に、偶然。 なお、また、話は戻って長崎。茂木の銘菓「一口香」をすこしお土産に持って帰りました。受けた。うまい、まずい、よりも「受ける」のがイチバン。 さて、じゃ、手袋を買いに。